やまばなへいはちぢゃや
若狭街道で400年以上の歴史をつなぐ名料亭
自然に抱かれた庭園とともに美味なるひとときを
16世紀末、天正年間に若狭街道(鯖街道)沿いに立つ街道茶屋として創業。以来440年間、京都・松ヶ崎の現在地で歴史を積み重ねてきた老舗料亭です。御所から一里(約4㌔)の場所、山端(やまばな)。旅人にとって、都に入る最初の茶屋であり、都を出る最後の茶屋でもありました。魚を運ぶ行商人が、ここで一息ついてかきこんでいったのは、今なお名物である「麦飯とろろ汁」です。玄関にそびえる騎牛門をくぐると、そこには木々が生い茂り、季節の花が彩る庭園が広がります。徐々に深い自然の中に入っていくような約600坪もの幽玄な空間は時間の経過を忘れさせるほどで、明治以降、夏目漱石や正岡子規、高浜虚子や北大路魯山人らが訪れました。「日常とは異なる非日常の空間、それが料理屋」。21代目当主の園部晋吾社長が語るように、「ぐじ(アマダイ)」を使った懐石料理のほか、コイやフナ、モロコなどを使った川魚料理など、季節を感じる食材を用いた「ハレの日」の料理で、お客様には語らい、楽しんでいただく。1日4組限定で宿泊も可能(1泊2食付き)。名物「かま風呂(和風サウナ)」は宿泊客でなくても楽しめます。園部社長は話します。「景色を眺め、川音を聞きながら、食事をする。それはただおなかを満たすだけでなく、心を満たし、気持ちを豊かにしていきます。料理を通じてお客様同士が和気あいあいとされる空間を作り出し、人と人とをつなげること、それが私たちの仕事です。」
威風堂々たる「騎牛門」。川端通りに面し、店のシンボル的存在でもあります。山口県・萩の禅寺から移築してきたとされ、築400年~500年と言われています。
川端通りに面した母屋は京都市の景観重要建造物。江戸後期(寛政九年)の建物。現在は調理場として使われています。
創業以来の名物、つくね芋を使った「麦飯とろろ汁」。丹波産のつくね芋を丁寧にすり下ろし、出汁でなめらかにのばしたとろろ汁を麦飯にかけていただく一品です。各料理の締めとして出されるほか、お昼限定の「麦飯とろろ膳」でも味わえます。園部社長は「非常に理にかなった食べ物」と説明します。かつて五穀の中で、庶民が口できる最上のものは麦でした。ただ麦はビタミンが豊富で栄養価が高い一方、パサパサして食べにくく、消化に悪い。そこで粘り気がある山芋をすりおろし、麦飯にかけて食べやすくしたのが「とろろ飯」でした。のちにわかったことですが、とろろにはジアスターゼという消化酵素も含まれており、消化の手助けにもなりました。
ぐじ(赤甘鯛)
若狭懐石
「ぐじ」は主に日本海で獲れる赤甘鯛のこと。深海に棲息することから1年を通して獲れ、季節に応じたさまざまな料理が可能です。パリッとしたうろこの食感が格別な「若狭焼」やひと汐のぐじを二杯酢でいただく「向付」など、さまざまなバリエーションが楽しめるのが「若狭懐石」です。
※ぐじの向付は天候によって用意できない場合もございます。
「真」から「行」、そして「草」へ。騎牛門から奥へ進むにつれて姿を変えていく庭園。徐々に自然の中に足を踏み入れていき、最後に高さ約3㍍の滝にたどり着きます。あえて整然とはしておらず、お客さんがほっとすることができ、肩の力が抜けるような庭づくりをコンセプトに手入れがされています。春はジンチョウゲやサクラ、ツツジ、サツキ、夏はサルスベリ、アジサイ、秋はモミジやキンモクセイ。冬はセンリョウやマンリョウ、サザンカなど、季節の移ろいとともに表情を変えていく庭園の様子を楽しむことができ、特に4月から6月ごろにかけては新緑がまぶしく映えます。「行」と「草」の境にあるししおどしの音が心地よく響きます。
座敷は全室、高野川(鴨川の上流)に臨み、せせらぎの音も間近に聞こえる。対岸の山は京都の夏の風物詩、五山送り火の「法」が灯される松ヶ崎東山。
食育をはじめ、食文化を次代に伝える活動に精力的に取り組む園部晋吾社長。食に対する哲学をこう語ります。「心や気持ちを豊かにするもの、それが文化だと思います。食で心を満たす。ただおなかを満たすだけなら、食材をそのまま丸かじりすればいい。でも、切れば食べやすくなる、焼けばおいしくなる。きれいに盛りつけると食べたくなる。もっとよく、もっとよくと常に求めていく人々の工夫の軌跡が文化になっていくと思います。私たちが大切にしていきたい食も文化の一つです。」
住所 |
京都市左京区山端川岸町8-1 |
TEL |
075-781-5008 |
FAX |
075-781-6482 |
営業時間 |
昼 11:30~15:30(LO14:00) |
アクセス | 四条河原町より京都バス(八瀬大原行17,18、岩倉実相院行21、岩倉村松行41)約20分 「平八前」下車すぐ京都市営地下鉄烏丸線北山駅 2番出口よりタクシー約5分 京都市営地下鉄烏丸線松ヶ崎駅より徒歩約20分 叡山電鉄修学院駅より 徒歩約5分 JR京都駅よりタクシー約30分 (お車でお越しの場合) 名神(京都南IC、京都東IC)より約45分 ※所要時間は目安です。待ち時間・車の渋滞によって異なります。 ※タクシーでお越しの際は「川端通り北山上る200m」とお伝え下さい。 駐車場あり |