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くらま辻井

くらまつじい

鞍馬寺のお膝元の食文化を伝える佃煮の専門店。
昔ながらの手づくり製法で長く愛される味に。

叡山電鉄鞍馬駅から花背峠へ向かうゆるやかな坂道を上がると、どこからか醤油で煮炊きする香りがしてきます。香ばしさに導かれるように進むと、そこには水引暖簾に屋号を染め抜く「くらま辻井」の看板が。朝から昼ごろまで釜に火を入れ佃煮をつくり、はからずもれる醤油の香りに、道行く人の足がとまります。
一帯はかつて林業で栄え、林閑期の炭を卸す問屋も数軒あったといいます。当時は「辻井商店」を名乗った「くらま辻井」もその一軒に数えられていました。町へ向かう大八車には、炭俵と一緒に自家製佃煮も手土産がわりに積み込み、それが得意先で好評を博したことから、いつしか専門店として商うように。看板商品の「木の芽煮」は、鞍馬一帯の集落で古くから親しまれてきた山椒と昆布の佃煮を、プロの水準に引き上げた名物。随所に工夫がほどこされ、調味料の主となる醤油は濃口薄口の3種をブレンド、山椒の香りが引き立つ製法も確立しています。商品のバリエーションは今では20種を超え、鞍馬寺の雲珠桜の名を冠した精進麩しぐれ「雲珠桜」、新緑の頃に摘んだ山ぶきでつくる「蕗しぐれ」など、いずれも洛北の里を印象づける味ばかり。何度食べても飽きが来ず、ご飯にもお酒にもあう万能ぶりで、鞍馬の食文化の継承役も担っています。

 


すっきり陳列され見やすい店内。名物の「木の芽煮」をはじめとした数々の商品が並んでいます。「木の芽煮」500円、「蕗しぐれ」500円、「雲珠桜」600円(いずれも税別)


工場は店舗のすぐ近くに設け製造販売を一所で行っています。「木の芽煮」は、はじめに山椒の実と昆布を火にかけ、炊きあがると煮汁だけを中央に集め、山椒の実と昆布の蒸らしにかかります。蒸らすことで水分が飛び、この後の刻みの行程がやりやすくなるのだといいます


山椒の葉は土用葉と呼ぶ真夏にとれる水分の少ない一枚葉を使用。山椒の実と昆布が炊き上がってから加える工夫が、山椒の香りを引き立たせます


熱源こそ薪からガスに変わったものの製法は今も昔のままを踏襲。火加減や炊き加減は季節や天候によって微調整が必要になりそこに長年の経験がいかされています


細かく刻んでからさらに煮汁に浸す「木の芽煮」はしっとりとした食感に仕上っています。山椒と昆布がうまく混ざり格別の風味が楽しめます


「蕗しぐれ」は皮ごと塩漬けにした山ぶきを丁寧に塩抜きしてから醤油で薄味に炊きあげています


3代目の辻井浩志さんは、生麩の原料である良質淡白を肉そぼろ風に炊いた「雲珠桜」が子供のころ大好きだったそうで「じつは一時期販売を休止していたのですが、2代目である父にお願いして復活させた思い入れのある味です」と語ります

 

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くらま辻井
https://www.kuramatsujii.jp/

所在地 京都市左京区鞍馬本町447
TEL 075-741-1121
営業時間 10:00~17:00(水曜日定休)
アクセス 叡山電鉄鞍馬駅下車、徒歩10分
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