たにむらたんご
奈良県生駒市高山町は、全国で唯一の職人技を守り継ぐ茶筅の産地。実に国内産茶筅の9割以上を占めています。その歴史は室町時代後期、大和鷹山の城主の次男・鷹山宗砌が、親交のあった村田珠光の助言を得て茶筅を創案したのが端緒と伝えられます。茶道の隆盛とともに高山茶筅の需要も高まり、幕府の保護産業として優遇されることになりました。
なかでも和北堂谷村家は、徳川将軍家御用達茶筅師として「丹後」の名を賜り、禁裏仙洞御所や公家、諸大名にも納入し500年以上の歴史を受け継いできました。流派によっても材料となる竹や製法が異なるなど、繊細な技術は現代まで一子相伝で守り伝えられています。二十代当主の谷村丹後氏は今も裏千家、武者小路千家の家元指名の茶筅師として、厚い信頼を担う存在です。「おかげさまで、需要に供給が追いつかない状態。よい材料の入手が難しくなり、職人も減りつつある現代は、さらに技術を磨き、これまで以上に高品質でより長く使っていただける茶筅の提供を目指しています」と語ります。最近では、発信力を高め、その魅力を広く伝える必要を感じたことから、体験コースを設け秘伝の技を一般に公開。茶筅製作実演見学の他、茶筅の糸かがり体験や茶杓削り体験を予約制で実施しています。
谷村丹後氏自ら茶筅の製作実演をまじえながら、茶筅の歴史や扱い方等をわかりやすく解説し、最後にお抹茶と生菓子がつくのが基本コース。それに加えて、オプションとしての体験コースは2種類。茶筅の糸かがり体験と、茶杓削り体験。もちろん出来上がった茶筅や茶杓はお持ち帰りいただけます。(茶杓は筒付き)
1日3名より最大20名まで。また、茶人対象に茶室を貸与するプランも。日時や内容、料金については、メール等で問い合せの上10日前までに要予約。
詳しくはHPをご確認ください。
https://www.tango-tanimura.com/
茶人には、体験のあとグループでお茶室を使い、お点前をしてお茶を楽しんでいただけるオプションも人気。お道具からお菓子まですべて用意されているので、必要な持ち物は帛紗と懐紙だけです。
歴史を感じさせる堂々たるたたずまい。広大な敷地内に、ワークショップ体験のできる作業場や工房、お茶室などが点在します。
歴史を伝える庭にも風格が漂います。茶筅師のこだわりを伝えるユニークなオブジェも。
見学後は、茶筅のほか、花入や蓋置きをはじめとする竹製品が多彩に並ぶコーナーでのお買い物ができます。
「茶筅は消耗品ではありますが、茶を点てるのになくてはならない基本の道具であることを誇りに思います」と語る谷村丹後氏。裏千家の講演会や研修会でも引く手あまた。その気さくなお話しぶりに、ご婦人のファンが多いのもうなずけます。「私は毎朝、1日をスタートする前に、まず抹茶を自服するのを習慣にしています。1日に5分でいい、頭を空っぽにして抹茶を点てて飲む時間をとるといいですよ。そのシンプルな道具立てに、お気に入りの“マイ茶筅”を選んでみてください」。
https://www.tango-tanimura.com
所在地 | 奈良県生駒市高山町5964 |
TEL&FAX | 0743-78-1755 |
アクセス | 近鉄けいはんな線「学研北生駒」駅よりバス約10分 ※各種体験のお申し込み、お問い合わせはホームページからも受け付けしています。ご予約は10日前までに。 ▶ ここへ行く(Google Mapを開く) |