豆政
まめまさ
京の碁盤の目を形づくる通りのひとつ、夷川通に店を構える豆政は、明治17年(1885)の創業。当初は豆などの雑穀を商い、進取の気性に富んだ初代は、砂糖の流通が国内ではじまるとすぐに煎った豆に砂糖蜜を掛ける豆菓子を考案しました。明治20年から売りはじめた「夷川五色豆」を印象づけるのは、その色の鮮やかさ。宮中の慶事に使う瑞色に着想を得て、五色に染めたといいます。
京土産として定着したのは、2代目が京都駅で販売をはじめてからのこと。ほどなくして大正天皇即位の礼が行われ、全国の人々が京都駅で買い求めると、瞬く間に世間で知られるようになりました。
現在は「夷川五色豆」のほかに、約30種類の豆菓子が本店に隣接する工場でつくられています。今まさに豆を煎っている最中は、通りにまで美味しい香りが広がり、思わず誘い込まれます。今年、2019年の10月からは、つくりたての豆菓子の店頭販売もはじまります。
「夷川五色豆」のおいしさの秘訣は丁寧な製法にあります。素材のえんどう豆は、一年を通じて水温が安定している地下水に3日ほど浸け込み、煎るのにちょうどいい柔らかさに調整。砂糖掛けにはそこからさらに5日をかけ、完成までに10日を要しています
昭和に入ってからバリエーションを増やし、ファン層も広がりました。「わさびピーナッツ」や「カレービンズ」「クリーム五色豆」など、好きな味を贈答用に詰め合わせることも可能。和菓子も販売しています
本店の隣に設けられた工場内では、熟練の職人たちが長年の経験と勘を活かしながら味づくりに励んでいます
釜の熱がわずかに残る煎りたての豆菓子は、香りが際立っています
5代当主角田潤哉さんは「世界一おいしくて、世界一喜ばれて、世界一有名な豆菓子屋さんを目指しています」と、国境を越えて愛される豆菓子の老舗としての展望を語ります
家具屋街の夷川通に趣を添える古い商家の佇まい。中央にえんどう豆をあしらったモダンな看板も目を引きます
所在地 | 京都市中京区夷川通柳馬場西入る六丁目264 |
TEL | 075-211-5211 |
営業時間 | 8:00~18:00 |
休日 | 日曜 |
アクセス | 京都市営地下鉄烏丸線「丸太町駅」下車、7番出口より徒歩5分 |