ほんけおわりや ほんてん
烏丸通から一筋東、車屋町通でひときわ目を引く尾張屋の店舗は、筑後130年程が過ぎ、かつては主の住まいも兼ねていただけに、隅々に文化的な趣が見受けられます。尾張国出身の先祖が上洛して菓子職人となったのは室町時代のことで、以来、550年以上にわたって菓子をつくり続けています。尾張屋の商いは周知の通り菓子と蕎麦の二枚看板。蕎麦は江戸中期の当主稲岡伝左衛門が提供しはじめ、このことが菓子づくりにも影響。14代目考案の「蕎麦板」は、麺打ちの技法に着想を得たといいます。今の商売の礎を築いた伝左衛門を初代として、尾張屋は代々暖簾を継承。海外で写真家として活動した後に家業を継いだ16代目の稲岡亜里子さんは、創業来初めての女性当主として活躍。豊かな経験を日々の仕事に活かしています。そんな16代目が始めた「宝鍋」は、亜里子さん自身が普段親しんでいる味を詰め合わせた特製品。数に限りがあるためお取り寄せ限定ではあるものの、自宅に居ながらにして尾張屋の味が楽しめると、多くの人に喜ばれています。
車屋町通に店を構えています。明治期に綾小路室町を東に入った場所から移転。「寶(たから)」と染め抜く暖簾が掛かっています。
1階にある小間は13代目が設けた茶室。御用蕎麦師として商いをする中で茶の湯にも親しんでいた往時の暮らしが浮かび上がる。
尾張屋といえば14代目考案の「宝来蕎麦」2,805円(税込)。宝来の名はかつての金箔貼り職人が飛び散った金箔を、そば粉を使って拾い集めたことに由来。宝を集める縁起の良い食べ物として喜ばれてきた。蕎麦は5段の漆器に盛り付けられ、8種類の薬味が添えられています。
にしんそば1,650円(税込)。甘辛く炊いたにしん、お出汁、蕎麦が三位一体となってしみじみと味わい深い一杯に。
にしんそばを自宅でも楽しめるようお取り寄せ品の用意もあります。にしんそば詰合せ 3,456~6,372円。モダンなパッケージングは16代目が当主に就任以降刷新された。
16代目が家庭で親しんできた味をベースに考案された「宝鍋」9500円は、京の名店の味でつくるお取り寄せ限定品。具材には「とり安」の鶏肉、「麩嘉」の手鞠麩、「千丸屋」の湯葉、「大栄」の小判(蒲鉾)、「とようけ屋山本」のそこそこ豆腐が使われ、「七味家本舗」の七味や紹介制レストラン「Farmoon」の発酵辛味調味料も付いています。週に3度つくられるものの、1回の販売数は30食のみ。オンラインで注文を受け付けています。
2020年には本店の北側にオープンした『本家尾張屋 菓子処』は、商品が購入でき、淹れたてのコーヒーなどもテイクアウトできます。コーヒーは自家焙煎珈琲で人気の「ウィーケンダースコーヒー」の豆を選んでいます。蕎麦茶490円や蕎麦チャイ700円なども販売。
そば餅とコーヒーの詰合せ2,916円。そば餅とコーヒーは16代目当主自身も日々楽しんでいるそうです。「ウィーケンダースコーヒー」の深煎りと浅煎りをセットにしています。
変わらぬ人気を誇る「蕎麦板」は、薄く伸ばした蕎麦生地を短冊状に切って一文字釜で焼いたもの。黒ゴマ648円、抹茶788円、ピーナッツ788円の3種があります。
初の女性当主となった16代目当主の稲岡亜里子さんは、自身がじっさいに美味しいと思ったものを丁寧に商品化しています。また長い海外生活で培った知見をもとに、エネルギー問題などのグローバルイッシューにも積極的に取り組んでいます。
所在地 | 京都市中京区車屋町二条下ル |
TEL | 0120-17-3446 |
営業時間 | お食事 11:00~15:30(LO15:00)※店頭販売は9:00~17:00 |
定休日 | 1月1日、2日 |
アクセス | 地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池駅」下車 北へ徒歩5分 ▶ ここへ行く(Google Mapを開く) |
TEL | 075-231-3446 |
営業時間 | 11:00~16:00 |
定休日 | 月・火・水・木、1月1日 |