こそべやきかまもと さむかわよしたか
高槻市は粘土質の土と水に恵まれ、薪も豊富に産出されたことから国焼のひとつとなる古曽部焼が、江戸後期に生まれています。古曽部村出身の五十嵐新平は京で学び、故郷で窯を開くと主に食器など日用雑器を製陶。一方で茶の湯の茶碗、水指、菓子鉢なども手掛け、遠州七窯にも数えられています。
大正初期まで四代続いた古曽部焼は一端は途絶えますが、それを和歌山県の窯元の家に生まれた寒川義崇さんが縁あって継承。日用雑器ではなく、茶陶の古曽部焼を40年以上にわたってつくり続けています。「再興するにあたって大切にしたのは古曽部焼の匂い」と寒川さんは話します。「古曽部焼は高麗、安南、色絵付と、交趾以外は何でも焼いてきましたが、どれもあまり澄ましていない。ほっとするような匂いがある。そこを継承していきたいですね」。何でもあるのが古曽部焼の特徴と語る通り、工房にはひとりの作家が焼いたとは思えないほど多岐に富んだ茶陶が並んでいます。
自らも釜を掛け、数寄者としての顔も持つ寒川氏は、茶の湯に親しみながら、水無瀬川の辺、山間の一角に設けた義崇窯で手ろくろを回しています。茶道具の誂えにも応じ、事前連絡があれば工房の見学も可能です(昭和58年に「古曽部焼」で商標登録されております)。
修行時代には“本物”の茶道具に触れる機会が数多くあったそうです。そこで養った眼は、ご自身の茶の湯の数寄にも、職人の技にも活かされ、多様な茶道具が生み出されます。
寒川義崇さんの生家は紀州焼の窯元「葵窯」を営んでいます。大阪芸術大学卒業後、茶道具商勤務を経て大阪府高槻市に開窯。永樂保全の研究にも熱心で著書も出版されています。
工房の脇には、水無瀬川の源流につながる清水が静かに流れます。
所在地 | 高槻市川久保160 |
TEL | 072-688-1570 |
営業時間 | 見学は平日の昼以降のみ可(事前に必ず電話を) ※不定休 |
アクセス | JR高槻駅下車 →「JR高槻駅南」停留所から高槻市営バス94系統「川久保」停留所下車 徒歩2分 ▶ ここへ行く(Google Mapを開く) |