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【初めてのお茶会】
菓子のいただき方の基本と注意点まとめ

 

お茶会では、お茶をいただく前に菓子が振る舞われ、「懐紙」(かいし)に乗せて「黒文字」(くろもじ)と呼ばれる楊枝を使ってお菓子をいただきます。これら基本的な所作を身に付けておくと実際、お茶会で戸惑うことが少なくなります。そして、お茶会においてお茶と並んで、なくてはならない存在である菓子について理解を深めると、茶会がより楽しめることでしょう。こちらの記事では、茶道関連の書籍や雑誌を出版している淡交社が、お茶会での菓子のいただき方の基礎的な知識について解説します。初めてお茶会に出席する方は、ぜひ参考にしてください。

 

「干菓子」と「主菓子」

お茶会でいただく菓子は大きく分けると「主菓子(おもがし)」と「干菓子(ひがし)」の2種類があります。本来では、主菓子は濃茶の席で、干菓子は薄茶の席で振る舞われますが、月釜など大人数のお客様を招く大寄せ(おおよせ)茶会では薄茶の席でも主菓子が出されます。いずれもお茶をいただく前にいただきます。

お茶会で振る舞われるお菓子は、味は言うまでもなく、形や彩など、季節によって随所に工夫が凝らされています。それは亭主が、その時のお茶会のテーマに合わせて、道具類などとともにお菓子を選び、お客様が心地よく過ごせる空間になるよう、心を砕いているからです。

味だけではなく、形や彩り、かすかな香りまで楽しむためには、五感を使って味わいましょう。五感とは、視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚のことです。

  1. 視覚
  2. 触覚
  3. 味覚・嗅覚
  4. 聴覚

1. 視覚
まさに見た目です。先述のとおり、お茶会でのお菓子は、季節感などを大切にしており、その形や色も大切です。主菓子は、色が濃かったり、形が具体的だったりするものは避けられます。一方、干菓子は具体的なものも抽象的なものもあり、その組合せによって亭主の思いが表現されていることがあります。

2. 触覚
手ざわりや舌ざわりといったものです。主菓子なら黒文字で切る時の弾力や舌ざわりなど、干菓子なら手ざわりのほか、押物であれば舌の上で溶けていく感触を、薄焼の煎餅類は食感などを味わいましょう。

3. 味覚・嗅覚
茶席の菓子は濃茶やお茶をおいしくいただくための重要な存在です。干菓子は有平糖と打物、煎餅と打物といったように異なる素材を組み合わせてあります。これは本来、薄茶を一服に限らず「もう一服」という意味が含まれています。双方の食感や砂糖、和三盆の風味を味わってみましょう。また、主菓子は元々、懐石の後に出されるものですから、大寄せの茶会で薄茶の前に出されるのはイレギュラーであることを覚えておきましょう。亭主は、主菓子なら濃茶の味を損なわないように、干菓子なら薄茶の味とうまく調和するように、心がけています。

4. 聴覚
お茶会でのお菓子には、名前である「銘」(めい)を亭主がつけています。「銘」は日本の菓子が持つ独特の文化です。その時の趣向に合わせて、四季や和歌の一部が銘に込められていますので、想像を巡らせたいものです。

菓子のいただき方

お茶には「濃茶」と「薄茶」の2種類があり、菓子をいただく場面でも所作が大きく異なります。先述のとおり、茶事や茶会でいただく菓子は大きく分けると「主菓子」と「干菓子」の2種類あり、濃茶で振る舞われるのは主菓子、薄茶では干菓子です。大寄せ茶会で薄茶の席でも主菓子が出されることがあります。いずれも場合でも対応できるようにしておきましょう。

まずは主菓子から見ていきましょう。

主菓子

濃茶をいただく時のお菓子は「主菓子(おもがし)」と呼ばれ、薯蕷饅頭やきんとん、餅菓子など、主に餡を使った生菓子です。通常は濃茶にあわせられますが、大寄せ茶会では薄茶でも出されることがあります。

1. 主菓子の取り方
主菓子は、茶事では「縁高(ふちだか)」という器を重ねた道具が使われることが多いですが、大寄せ茶会では菓子鉢、客の数によっては「銘々皿(めいめいざら)」が使われることもあります。

  • 菓子鉢
    菓子鉢には数人分のお菓子が盛り付けられており、黒文字の箸が添えられています。正客は亭主からお菓子を進められると、次客に「お先に」と挨拶し、菓子鉢の両横を両手で持って感謝します。この時、取手がある鉢は取手を持たないように気を付けます。懐紙を膝前に出し、箸を右手で持って菓子を取り、懐紙に乗せます。箸の先を懐紙の角で清めた後、箸を元の場所に戻し、そのまま縁外で次客に送ります。
  • 銘々皿
    銘々皿は一人一人に振る舞われ、黒文字の楊枝がついています。正客は亭主からお菓子を勧められると、器を持って感謝します。懐紙を膝前に出し、黒文字で菓子を取り、懐紙に乗せた後、いただきます。お菓子を出された時は客側に器の正面が向けられています。お菓子をいただいた後は、器を拝見し、縁外に置きます。

2. 主菓子のいただき方
鉢から取った主菓子は基本的には自分で用意した菓子切り楊枝を使っていただきます。口に運ぶ時は、楊枝で一口の大きさに切っていただきます。小ぶりの菓子でも一口で食べるのは避けた方がいいでしょう。

お菓子をいただいた後は、お茶をいただきます。濃茶は一碗を複数で分けていただきます(「各服点」といって一人一碗で出される場合もあります)。

干菓子

「干菓子」は薄茶の時に出されるお菓子です。ふのやきや煎餅、和三盆、有平糖など文字通り、乾いたお菓子です。近年は大寄せ茶会などで薄茶だけをいただくことが多いですが、薄茶は本来、茶事で濃茶の後に炭をもう一度整えて、その後にいただくものです。濃茶は厳粛な雰囲気があるのに対して、薄茶は亭主と客が会話を楽しみながら和やかにいただきます。

1. 干菓子の取り方

客が全員、自分の席に着くと、干菓子が入った器が出されます。亭主から「お菓子をどうぞ」と勧められると一礼し、正客は「お菓子を頂戴します」と亭主に挨拶します。正客は次客に「お先に」と挨拶し、器の両横中央を両手で持って感謝します。懐紙の輪を手前にして膝の前に置き、器から干菓子を素手で取り、器を次の客に縁外で送ります。

同じ器からいただく客が全員、お菓子を取るのを見届けてからお菓子をいただくのも大事なポイントです。

先にお菓子をいただくことへのお断りとして、「お先に」と次の客へ挨拶をすることを忘れないようにしましょう。畳に指をついて、軽く礼をしながら「お先に」と挨拶をします。お茶会では、お菓子をいただくときだけでなく、お茶をいただく時、道具を拝見する時も隣の人に「お先に」と挨拶するのが基本です。

2. 干菓子のいただき方

干菓子は主菓子と異なり、素手で扱い、一口で食べるのが基本です。もし煎餅のような大きな干菓子の場合は、手で一口サイズに割っていただいても構いません。壊れやすい干菓子もあるので、畳の上に落としたりしないように気を付けましょう。食べ終わったら、干菓子を乗せていた懐紙は取って、しまっておきます。

お菓子をいただいた後は、お茶をいただきます。薄茶は一人一碗です。

まとめ

濃茶と薄茶では菓子のいただき方が異なりますが、しっかりとポイントを押さえておけば初めてのお茶会でも安心して楽しむことができます。ぜひ、この記事を参考にしてお茶会に参加してください。初めてのお茶会を素敵な思い出としてください。