ここ数年、猫神社として知られ、猫好き憧れの神社となっている「梅宮大社」に行ってきました。酒造の神と、子授け・安産の神様をご祭神に祀り、週末には、多くの参拝客が訪れ、神苑での景色を楽しんだり、のんびりと過ごす猫に癒されたりできる神社です。その歴史は古く、創建は平安遷都以前にまで遡ります。当初は、今の場所ではなく、京都府南部に建てられていたそうですが、平安時代になり嵯峨天皇の皇后である、檀林(だんりん)皇后の手により、現在の場所に遷座したそうです。
酒造の神様を祀る梅宮大社。境内には酒樽が並びます。
格式ある本殿は江戸時代中期に再建されたもの。神聖な空気に身が引き締まります。
境内の社務所で拝観料金を支払うと、3000坪という広大な敷地を誇る池泉式回遊庭園「神苑」に入ることができます。四季折々の花が楽しめる京都でも屈指の名苑で、春から夏にかけて杜若(かきつばた)、花菖蒲、あじさいなどが次々と咲き乱れ、早春には梅の名所としても知られています。
訪れたこの日は、咲耶池(さくやいけ)に杜若が満開でした。
さらに、神苑には、茶席「池中亭(ちちゅうてい)」が残されています(通常非公開)。かつて王公貴紳の別荘が多く作られたこの地域の当時の風情を今に伝えるお茶室で 「芦(あし)のまろ屋」とよばれる芦で葺いた様子は、他に類をみないような素晴らしさで、ぜひ一度は目にしたい佇まいでした。
「池中亭」入口には大納言源経信の一句を記した石碑が残されています。
茶席「池中亭」は嘉永4年(1851年)建築。侘びた風情に心癒されます。
「池中亭」内部の様子(四畳半)。通常は非公開。
神苑での散策を楽しみ、社務所前でひと休みしていますと、梅宮大社の境内にはあちらこちらに猫の姿が目にします。社務所に入りたくて仕方がない猫、拝観客のベンチで寝そべる猫、なでての催促をする猫。その猫たちの姿をみているだけで思わず時間を忘れてしまいそうです。ぜひ、梅宮大社を訪れてみませんか?
社務所に入りたくて仕方がない「マコちゃん」
社務所前でくつろぐ「ロクちゃん」
取材中、一度も眼を覚まさなかった「ツキちゃん」
人懐っこい「ソラちゃん」
(文・写真/淡交社 安部)
住所 | 京都市右京区梅津フケノ川町30 |
電話 | 075-861-2730 |
神苑入苑料 |
550円 |
拝観時間 | 9:00~17:00(16:30受付終了) |
アクセス |
市バス「梅ノ宮神社前」下車すぐ |
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