
うっとうしい梅雨の季節に、清々しい一陣の風が吹き抜けるようなお茶会が、去る2026年6月20日(土)、京都西陣の「織成舘」にて催されました。
今月の席主は、緩徐庵マイケル・シュミセク宗瑞先生。「山と水」という壮大なテーマのもと、先生の故郷であるスイスの息吹と、日本の豊かな茶の湯文化が見事な調和を見せる、唯一無二の空間が創り出されました。
待合では、席主自らが筆を執られたスイス・アッペンツェル地方の民藝「牛ノ図」が、松栄堂製の「誰が袖」のかおり籠とともに客人を温かく迎えます。のどかで美しいその絵画に心を和ませながら本席へと進んだ参席者は、そこで鮮やかな伏線回収の妙に驚かされることとなりました。

特筆すべきは、編笠釜(あみがさかま)に合わせられたお水指のご趣向です。なんと先生の故郷・アッペンツェル地方の木製の「牛乳桶」がお水指に見立てられていたのです。さらに、待合に掲げられていた「牛ノ図」は、まさにこの牛乳桶の外側に描かれる伝統的な意匠そのものであるとのこと。待合から本席へと繋がるこの心憎いばかりの演出に、席中からは大きな感嘆の声が上がりました。アルプスの豊かな自然を思わせる水指からは、こんこんと湧き出る清流のような「山と水」の景色が浮かび上がります。

床には江戸後期の歌人・加藤千蔭の詠筆による五月雨の和歌、香合には大徳寺山門古材(小野澤虎洞和尚箱)など、日本の伝統ある名品が調和を添えます。お茶碗には円能斎箱の銘「蓬莱」が用いられて格調高く引き締める一方、替茶碗の時代仁清写朝顔や、松水車古材の茶杓が、瑞々しい水のストーリーを補奏していました。






聚洸製の主菓子「青梅雨」は、しっとりとした雨の情景を美しく表現し、松屋藤兵衛製の干菓子「観世水」「さざれ石」とともに、蓬莱堂の薄茶「蓬ケ嶋」の美味しさを引き立てます。煙草盆にいたるまでスイス民藝があしらわれ、異国の風土と日本の伝統が国境や時代を越えて響き合う、深い感動に満ちた水無月の月釜となりました。



| 所在地 | 京都市上京区浄福寺通上立売上る大黒町693 |
| TEL | 075-431-0020 |
| 営業時間 | 10:00~16:00 |
| 定休日 | 月曜日(祝日は開館) |
| 入館料 | 大人1000円 高校生以下400円 ※団体割引(10名様以上) 大人800円 高校生以下300円 |
| 市バス「今出川浄福寺」から北へ徒歩7分、または「千本上立売」から東へ徒歩5分
●京都駅から ●地下鉄今出川駅(3番出口)から ●阪急大宮駅から ●JR二条駅から ●京阪出町柳から
駐車場あり。 |
織成館のデジタル茶の湯マップの情報はこちらからご覧になれます。