まつのおたいしゃ
平安京が築かれるはるか前、洛西一帯に住んでいた住民が生活守護のため松尾山の磐座(いわくら)に神をお祀りしたのが始まりと伝わる、京都最古の神社。5世紀にこの地に移住した渡来人の秦一族が保津峡を開削し、桂川に堤防や堰を築いて農耕地の開拓をする傍ら、松尾山の神を氏神として仰ぎ、大宝元年(701)に現在地に社殿を造営しました。御祭神は大山咋神(おおやまぐいのかみ)と市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)の2柱。社務所の裏には涸れたことがないと言われる御手洗川上流に位置する霊亀の滝があり、そのそばの湧き水・亀の井では地元の人々が水を汲む様子を見かけることもあります。昭和の作庭家・重森三玲氏(以下重森氏)による庭園や、重要文化財の神像を展示する神像館、5月には山吹が咲き誇る一ノ井川、昔の酒造道具や歴史を紹介するお酒の資料館などが点在し、四季折々の風景とともに、長い歴史と文化を感じることができます。
創建以来、皇室・幕府によって改築されてきた本殿。現在の本殿は応永年間(1393~) の建造で、天文11年(1542)に大修理が行われました。松尾造りと呼ばれる両流造りの建物で、屋根頂上の箱棟の端が唐破風形になっている珍しいタイプ。重要文化財。
霊亀の滝と、滝御前のお社。山腹に水源があります
神泉・亀の井。霊亀の滝とは水源が異なり、こちらは山肌から湧き水が出ています。この水を飲むと体の悪いところが治ると言われていたほか、お酒を造る時にこの水を入れると腐らないと言い伝えがあることから、酒の神様の由来となりました。
重森氏が手掛けた「松風苑(しょうふうえん)三庭」の1つで「曲水の庭」。平安王朝の貴族の雅な遊びの場を、現代風に表現しています。
「松風苑三庭」の1つの「上古の庭」。重森氏の遺作であり、松尾山の磐座の真下辺りに位置し、古代祭祀の場である磐座を模した庭。重森氏が岩1つ1つの声を聞きながら、置き方を決めていったとされ、まるで自然のままのような絶妙な岩の傾き・配置です。
神像館のそばにできた空間に、重森氏が遊び心で作った庭で通称「即興の庭」。石をいろいろな七・五・三の組み合わせで見て楽しむことができます。
御神像21体を常設展示している神像館。平安時代初期作の3体の重要文化財の御神像のほか、摂社・末社に祀られていたといわれる18体は平安時代後期〜鎌倉時代の作。彩色が残っているものや、能面「翁」のルーツといわれる「笑相の像」など、重要な御神像が並んでいます。
一ノ井川は、秦一族が渡月橋付近から水を引き込んで作った水路。川沿いに咲く山吹は、松尾大社のシンボルで、4月中旬〜5月初旬が見頃に。
珍しい白山吹。「上古の庭」横の通路に群生しています。見頃は4月中旬〜5月初旬。
「松風苑三庭」の1つの「蓬莱の庭」は回遊式庭園。池全体が羽根を広げた鶴をモチーフにし、池にはゆったりと泳ぐ鯉や日向ぼっこする亀も見られます。客殿のそばにあり、月釜ではこの庭を眺めながら一服いただきます。
お酒の資料館では、松尾大社とお酒の関わり、酒造りの工程などを昔の道具やパネルを使って紹介しています。
住所 | 京都市西京区嵐山宮町3 |
TEL | 075-871-5016 |
庭園・神像館拝観時間 | 9:00〜16:00、日曜・祝日は〜16:30 |
拝観料 | 大人500円・学生400円・子供300円 (庭園・神像館共通) |
アクセス | 〈公共交通機関〉 阪急嵐山線-松尾大社駅下車 市バス・京都バス 松尾大社前停下車すぐ 〈車〉 四条通から物集女街道を越えて表参道へ |